2020年5月19日(火)東証一部上場の双信電気(6938)がストップ高。
株価350円から430円へ、脅威の22.86%急騰。
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原因は何だったのか?
前日に発表された2020年度3月期の決算短信を確認すると共に、
双信電機の業績について確認してみましょう。
2020年度3月期 決算短信
発表された決算資料では、
売上11億9600万円(11.8%)減、利益8億6千万円減とぶっちゃけひどい。
コロナショックの影響を強く受け、大きく赤字転落したことが見て取れます。
なのになぜストップ高となったのか?
調べてみると、時期2021年度の連結業績予想が、
売上6億8400万増、利益8億7700万円増と期待膨らむ内容だったことが材料視された模様。
今期の業績が大きく落ち込んだ原因は3つ。
・部品調達難により積層誘電体フィルタ、舞香コンデンサの生産ライン停止
・政府要請によりマレーシアの連結子会社の稼働が半減
ただし、新型コロナウィルスの影響を除けば
・無線LANの新規格Wi-Fi6向け製品の需要増
・5G通信システム向け基地局、通信端末の製品需要増
という好環境にあり、コロナさえ終息してしまえば完全復活するとのこと。
果たして、発表資料をそのまま受け取りって良いのだろうか?
双信電機の各種データを覗いていこう。
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双信電機の各種データ
双信電機の業績は安定していません。
2016年、2017年度と大赤字を記録。2018年に黒字転換するも翌年にはギリ黒字。
そんな中の2019年大赤字。コロナショックが無くても赤字だったのでは?
と感じてしまいます。
2016、2017年度の赤字理由は米国での訴訟絡み
2017年度の赤字は決算短信で次のように発表しています。
半導体製造装置市場は堅調に推移し、足許では、低迷していた工作機械市場も若干の回復の兆しがあるなど一部の市況は上向きつつありますが、中国経済の成長鈍化や基地局投資の停滞などにより産業機器分野、情報通信機器分野とも総じて低調に推移
結果、経常損失が1億2300万円。そこへ米国のフィルムコンデンサ取引に関する集団民事訴訟により、特別損失を7億8400万円計上。結果9億6800万円の赤字。
※2016年度の大赤字もこの米国の集団訴訟絡み。
2019年度はどうして僅かな黒字?
2019年度は2300万円のギリ黒字。理由を次のように発表しています。
産業機器分野では中国経済の落ち込みや、半導体メーカーの投資抑制などにより市況が悪化しました。情報通信機器分野では車載市場は堅調でしたが、通信機器市場は通信体通信基地局が低水準に留まり、無線LANでは次世代規格へ対応した製品への移行が期待度落ちに進まないなど・・。
んで、2018年度の決算時発表の来期の見通しと、実態を比較すると次の通り。
2019年度実態:売上101億、営業益2億、経常益2億4千万、純利益2千3百万
見通しと実態に結構大きな乖離が生まれていることが分かります。
よって、ここまで調べた限りでは、2021年度の連結業績予想が、売上6億8400万増、利益8億7700万円増と期待膨らむ内容だったこと材料視し、ストップ高になるのは流石にやりすぎじゃないの?と感じます。
もともと売上は順調に右肩下がり。
コロナショックからの世界経済回復がV字でなければ達成難しいそう。
双信電機のPBRと株価推移
では双信電機の株価とPBRはどのように推移していたかと言うと次の通り。
2018年の3月にはPBR0.94倍と株価も大きく上昇する場面が見られました。
米国での訴訟問題が解決し、黒字転換したサプライズが大きく評価されたのでしょう。
が、以降株価、PBR共に下落を続けています。
来期の見通しを過去の業績と比較すれば、概ね2013年度ぐらいの業績と一致します。
過去その時の株価は330円程度、PBRも5倍以下。
よって、今回ストップ高になりましたが、市場は過剰反応だと私は受け止めます。
来期の黒字転換の見通しも不透明感漂う中、追って買うことはありません。
アンリツにしろ何にしろ5G関係の銘柄ってだけで、バブルが発生しているとつくづく感じます。