2020年5月15日、新聞各社が大手アパレル会社「レナウン」の倒産を報じました。負債総額は138億円。既に来月の上場廃止は決定。最終売買日は6月15日です。
正確には民事再生手続きへの移行なのでレナウンが無くなることはありません。
が、投資家は大損確実です。
今回
・レナウンってどんな会社なのか?
・他に同じような会社はないのか?
といった内容を調査していきたいと思います。
レナウンの公式発表資料 要約
レナウンの公式情報より、概要を引用いたします。
アパレル関連製品の企画・製造・販売を手掛け、全国の百貨店・量販店・衣料品店等に対して卸売事業を行うほか、直営店において小売事業を行っておりますが、近年は、消費者の衣料品に対する購買行動の多様化、節約志向による家計に占める衣類の支出割合の低下等に伴い、売上高が低迷
レナウンはアパレルメーカー。
ZOZOの筆頭により近年アパレル業界は大きな変革がもたらされました。
レナウンはZOZOに喰われたといって良いでしょう。
EC化の波にも乗り遅れたことが大きく影響し、業績を悪化させていました。
消費税増税による消費低迷、夏季の台風による店舗休業、記録的な暖冬による防寒衣料の不振などにより、主力販路である百貨店向け販売が苦戦
レナウンの主力販路は百貨店向け。
インバウンド失速により2020年度も百貨店は厳しい業績が予測されています。
百貨店関係の会社は引き続き注意が必要です。
親会社である山東如意科技集団有限公司の子会社である恒成国際発展有限公司に対する 2019 年 12 月期中に支払期日の到来する売掛金の回収が滞ったことにより、同期に貸倒引当金繰入額 5,324 百万円を計上し、8,309 百万円の営業損失を計上することとなりました。
レナウンに致命傷を与えたのは、親会社の子会社からの売掛金回収の滞り+貸し倒れ引手金計上です。
ここで気になるのが、中国の会社が発端という点です。
他に似たような会社が中国にあれば、連鎖的に日本の企業も影響を受けるでしょう。
親会社の山東如意科技集団有限公司って?
山東如意科技集団有限公司は如意グループの中核企業。
当初は国営企業でしたが1993年に民営化。
2013年にレナウンと資本提携を結び、レナウンの持ち株53%まで保有することになりました。このほか、積極的にM&Aを実施しており、フランスのSMCPグループの株式80%を取得、米国のインビスタを取得するなど破竹の勢いで拡大していました。
また山東如意科技集団有限公司について調べていると次の記事が見つかりました。
山東如意科技グループ/資金繰り悪化で問題噴出/買収予定先が訴訟へ
2020年02月27日(木曜日) 午後1時10分
【上海支局】中国の繊維アパレル大手、山東如意科技グループの資金繰りがつかなくなっている。現地メディアはこのほど、同社が買収を予定していたイスラエルのスーツメーカー、バギール社が、買収金の未払いを理由に同社を提訴すると報じた。子会社のレナウンと、中国グループ会社との原料販売の売掛金回収も滞るなど、ここに来て問題が噴出。近年繰り返していた海外企業の買収があだになったとみられる。
2月27日時点で、如意グループがやばいという報道がされていました。
つまり、きちんと調べていれば今回のレナウンの上場廃止も予測できていたことになります。
如意グループ関連銘柄は要注意
如意グループ関連銘柄は次のような会社あります。
SMCPグループ チャート
トリニティ社 (0891) チャート
利豐 (0494) チャート
山東如意紡服装集団 (002193) チャート
もし海外株を取引しているのであれば、本家大元の山東如意紡服装集団状況を空売りで攻めるのも一つの戦略でしょう。
上記4銘柄はまだレナウンほど大きく注目されていない様子。
もし、自体が大きくなれば今後大きく値下がりする可能性が高いです。
さて、ここで一度レナウンに話を戻したいと思います。
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レナウンの株価、指数を確認する。
報道直後のレナウンについて状況を確認
レナウンの倒産が報道されたのは5月15日(金)の株式市場閉場後です。
この為、現時点では株価が暴落していません。
5月18日(月)の東京株式市場がスタートした暴落確実。
指数は5月16日(土)時点でPBRは0.51倍と高い為、大きな下落余地があります。
16か月前に倒産した上場企業シベールの株価は?
今後のレナウンの株価を予測する為に過去の事例を参照します。
16か月前。2019年1月に民事再生法の適用を行ったシベールの株価チャートを確認してみましょう。
2228 東証ジャスダック上場 シベール(既に上場廃止)
シベールの場合は1330円あった株価が204円まで一気に急落しました。
その後、2週間かけてじわりと値下がりを続け、129円まで下落。
上場廃止となる前日には株価23円を付けました。
暴落率は驚異の98%です。
もし、今回倒産となったレナウンも同様の株価推移を辿るなら78円の株価は2円近くまで下落すると考えられます。
レナウンの業績はどのように推移していたのか?
今回、レナウンは新型コロナウィルスの影響により倒産したと報道されています。
が、以前より倒産の兆候があったのかどうか?業績を確認してみましょう。
レナウンの過去業績推移
レナウンは2018年39.4億円、2019年に67.4億円の赤字を計上しており、コロナショック以前から倒産・上場廃止の傾向が見て取れました。
売上も右肩下がりとなっており、新型コロナウィルス問題が起きなくとも、いずれ同じ状況になっていたと推測できます。
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今後も上場企業の倒産は必至
上場企業の倒産はこれから増加すると予測できます。
現在、株式市場はV字回復を睨み、株価が大きく上昇していますが、2番底を付けていく可能性が非常に高くなりました。
油断せず、引き続き注視していきましょう。