金地金(インゴット)は節税対策になるのか?
金地金(インゴット)に関係する税金について知りたい。
そんなあなたに、金地金(インゴット)の取引に関わる税金について解説していきたいと思います。
さて、資産性・換金性の高い金地金(インゴット)は富裕層にとても人気です。
商品先物市場でも原油と並んで多く取引されているのが金です。それだけ金は実物資産としての価値がゆるぐことがありません。
そんな金地金について次のような噂をよく耳にします。
・金地金を使えば贈与税を削減することができる。節税できる。
果たしてこれらは本当なのでしょうか?
もし本当に金地金(インゴット)を購入することで相続税を減らすことができたり、相続税を減らすことが出来るのであれば、とっても魅力的ですね。
実際に節税できるのか?検証した結果を紹介いたします。
結論から言うと、金地金を購入しても節税にはならない。
結論から言うと、金地金(インゴット)を購入しても節税にはなりません。
なぜ節税にならないのか?詳しく見ていきましょう。
金地金(インゴット)の相続税について
金地金は無税で相続できるモノではなく、相続するには相続税を支払わなければいけない資産です。
よって、金地金を相続時には次の流れで相続税が算出されてしまいます。
2・評価金額を元に課税額を計算
3・課税額に応じた金額を相続税として納付
遺産の中に金地金ある。ということが税務署にバレ無ければ、確かに相続税対策として有効な方法かもしれません。がこれは違法ですし、実際につかまった事例もニュースで報道されています。
日本経済新聞 2011/10/3
床下に金の延べ棒210本 会社社長、7億円脱税で起訴
長野地検が7億円余りを脱税したとして相続税法違反容疑で逮捕した同県岡谷市の会社社長、山岡忠典容疑者(61)の自宅にある土蔵の床下から、金の延べ棒210本(時価約5億6300万円)と現金約6億7千万円が見つかっていたことが3日分かった。
この報道は金額が金額なだけに、税務署が容疑者の自宅を家宅捜索し発見されました。
もしこの時に、隠しきれれば相続税を減らすことに成功していたのかもしれませんが、リスクが多きすぎです。
そもそも相続税はいくらぐらい掛かるものなのか?
そもそも相続税は基礎控除の金額が大きく、3,600万円以下の相続の場合は無税です。
相続税の基礎控除の金額は次のように計算されます。
相続税の基礎控除の計算式=3,000万円+法定相続人の数×600万円
よって、法定相続人が増えれば増えるほど、無税になる金額も増えます。
法定相続人2人・・・4,200万円までは無税
法定相続人3人・・・4,800万円までは無税
・・・と法定相続人が増えれば増えるほど相続税が無税になる金額が増える。
この基礎控除の金額を超える相続だった場合、次の税率表に基づき相続税が計算されます。
3,000万円以下 税率15% 控除額50万円
5,000万円以下 税率20% 控除額200万円
1億円以下 税率30% 控除額700万円
・・・と基礎控除差引後の相続金額が増えれば増えるほど税率も上がる。
よって、よっぽどの金地金を相続させない限り、ほとんど税金はかかりません。ちなみに法定相続人1人、相続する金地金が5,000万円の評価額であれば相続税は160万円程度です。
金地金(インゴット)の贈与税について
年間110万円以内の贈与であれば税金はかからないものの、それを超えると贈与税の対象となります。よって、金地金(インゴット)の受け渡しであれば贈与税が発生しない。ということはありません。
もちろん年間110万円以内の贈与であれば税金がかからない為、金地金(インゴット)のプレゼントも良いでしょう。
ただしコレは節税目的ではなく、安全資産の譲渡ということを目的にしなければなりません。
もちろん、悪用すれば税務署にバレずに贈与税を節税することが可能です。
例えば貴金属買取店は200万円以内の売却金額であれば、マイナンバー情報といった個人情報を伝えなくとも、金地金を買い取ってくれます。
よって、金地金(インゴット)を購入し、それをプレゼント、受け取った人が少しづつ換金していけば税務署に補足されずに金銭の受け渡しが可能かもしれません。ただしこれは犯罪です。税法違反で書類送検され、さらには追徴課税を食らう可能性もあるため行わないでください。
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金地金(インゴット)は節税対策ではなく、資産形成の一環で購入するもの
金地金(インゴット)は節税対策としてではなく、資産形成の一環で購入するものです。
実際、これまで金を購入していた方は安定して大きな収入を得ることに成功しています。
金価格2000年からの推移
2000年頃までは金価格が1オンス400ドル程度でしたが、今は1600ドルに届きそうなほど値上がりしています。20年でおおよそ4倍もの値上がりです。
金は産出量に限りのある有限資産です。よっていつかは新しい金の産出が止まり、既に産出された金のみで工業製品、装飾品を製造していかなくてはなりません。
中国も金の購入量、保有量を年々増やしています。
2020年1月7日に中国国家外貨管理局が発表した外貨準備の内訳を確認すると、金の保有量が1年で96t増加し、2019年末には1948tになっていたことが分かりました。日本円に換算すると10兆円以上です。
様々な要因が金価格の上昇を後押ししている限り、安定して上昇していくことが予想されます。
よって、株式、国債といった金融商品に投資するのと同じく、金に投資する富裕層がとても増えてきています。
これを機会に金地金の購入について検討してみるのも良いのかもしれません。