FXで失敗しないナンピンのやり方
ナンピンは使い方次第でトレード成績をぐんっっと引き上げる最強の手法です。とはいっても、闇雲にナンピンすれば勝てるというものでもありません。ここではFXでナンピンをする場合のルールとコツを解説していきたいと思います。
本来、FXとナンピンは非常に相性が悪い
いきなり冒頭から夢のない話をしてしまいますが、株のナンピンと違い、FXのナンピンは非常に相性が悪く、勝ちにくいトレード手法です。理由は為替市場の性質にあり、平均単価を下げ、長期間保有する手法はFXでは効きにくいのです。
なぜこんな話をするのか?
それは為替市場の性質を理解した上で、ナンピンを使って欲しいという思いがあるからです。ちなみに株とナンピンは非常に相性が良いものの、株のナンピンと、FXのナンピンは同列に語ることができません。
それではまず為替市場の性質について解説し、それを踏まえ、FXの最強ナンピン手法とは?どうすれば失敗しないのか?という流れで進めていきたいと思います。
まず、FXとナンピンの相性が悪い理由は2つあります。
- 為替レートの変動は小さすぎる
- スワップ金利・物価上昇が邪魔をする
それぞれ解説していきましょう。
為替レートの変動は小さすぎる
ご存知の通り、FXはレバレッジを使うことで、為替レートの小さな変動を大きな利益へと変化させています。例えばドル円でレバレッジ25倍の取引で1円分勝てば約25%も儲かります。
でも、よくよく考えればドル円のレートが100円から101円へと円安になったとしても、実際の価値の変化はたったの1%。価値の変化の幅として考えれば非常に小さなものです。
株の場合、100円から75円に下落すれば約25%の損失です。株式時価総額が25%も減少すれば実体経済にも非常に大きな影響を与えます。新聞にも大きく取り上げられ、なぜ株価が下落したのか?多くの評論家がその会社のビジネスモデルの是非を問う事にもなります。
注目を浴びると、割安だと感じた投資家が出現し、株を購入。株価が底打ちし、上昇するという流れが生まれやすい。株はこのような背景もあり、ナンピンと非常に相性が良い。
対して為替レートが100円から99円になるのは日常の出来事であり、わざわざメディアが取り上げることもありません。
スキャルピングといった短期売買でナンピンを行うのであれば尚の事。
100.00円でドル円をロングし、99.50円でナンピンロングしようが、平均単価の減少は微々たるもの。そこに起きたのは”ほんの少し平均単価が下落した”という現象だけであり、多くのFXトレーダーが注目し、相場が底を打つ。という現象は発生しにくい。
自身と同じく注目した人は同じ1分足、もしくは5分足を見ているFXトレーダーだけであり、1時間足、4時間足、日足、週足を見ているような大口トレーダーは取引に参加してきません。
だから短期主体のFXトレーダーであればあるほど、ナンピンで失敗してしまう傾向があります。
スワップ金利・物価上昇が邪魔をする
FXは金利の高い国の通貨を購入し、金利が安い国の通貨を売るとスワップ金利が貰えます。株でいうところの配当金のようなイメージを抱きがちですが、実態は大きく異なります。
そもそも、金利の高い国の通貨は購買力平価説、金利平価説、どちらの説でも下落すると説明できます。スワップ金利が貰える通貨を長期間保有するのは危険というわけです。
実際、トルコリラやロシアルーブルといった高金利通貨、また歴史を見れば豪ドルといった通貨も全て価値が大きく下落し、クロス円でナンピン耐えしていたトレーダーは現在進行形で駆逐されています。
ナンピンは長期間保有し続ける塩漬けへと発展する可能性があります。もし、スワップ金利が貰える通貨を購入していた場合、将来起こり得る購入通貨の価値下落に怯えるしかありません。
逆にスワップ金利を支払うケースであれば、ナンピンしても大丈夫か?というとそうでもありません。FX業者の多くは買いスワップと売りスワップに差額を儲け、金利の中抜きをしている為、支払う側は通常よりも若干高い金利を支払っています。
実は「FXで長期間通貨を保有し続けることのメリットは非常に少ない」のです。※多少のリターンは見込めるものの、円高リスクもあり、オススメはできません。
FXで使える最強のナンピン手法
ではFXにどのようにナンピンを使えば良いのか?方法は1つ。
「エントリーに使う時間軸だけを見て、ナンピンを戦略的に行う。」
エントリーに使う時間軸だけを見てナンピンをする。
1分足でエントリーを行うのであれば、1分足しか見ずにナンピンの是非を考える必要があります。そこに他の時間軸の要素を取り入れては駄目。
FXトレーダーの多くは大きな時間軸を見て、その流れに逆らわないようにトレードすべきと学びます。1分足を使ったスキャルピングトレーダーであれば、1時間足でトレンドを確認し、その方向にのみトレードする。といった具合です。
この癖により、含み損を抱えたトレーダーの多くは「大きな時間軸」を見て、どこで下げ止まりそうか?考え、心の平静を取り戻そうとします。もし、そこで下げ止まらなかったら次にどこで下げ止まるのか?「大きな時間軸」でナンピンする場所を探します。
もともと1分足でリスクとリターンを計算し、購入したポジションなのに、大きな時間軸で決済しようとすれば、当初よりも大きなリスクに晒されるのは必須。一撃死の可能性大。
ナンピンを戦略的に行う。
ナンピン手法を使うのであれば、事前に検討すべき内容は2つ。
- 突っ込む資金の量、ナンピンする回数
- ナンピンする幅・間隔
突っ込む資金の量、ナンピンする回数
ナンピンする回数は最大で3回が限度。これ以上ナンピン回数が増やしても、平均単価は変わりにくく、ナンピンのメリットが生かせません。もし、4回以上ナンピンする必要に迫られれば「最初のエントリーポイントが悪かった」、「ナンピンする場所が悪かった」ことを疑う必要あります。
仮に2回に分けてナンピンする場合、50%づつの資金を投入するのがベターですが、3回に分けてナンピンする場合、次の2つの分割法がオススメです。
B 1回目・・20% 2回目・・30% 3回目・・50%
どちらも特徴的なのは最後の3回目が一番大きな数量であること。最後まで余力を残しておけば、ナンピンの持つメリットを最大限に生かすことが可能です。
ナンピンする幅・間隔
○○pipsでナンピンする。といった固定幅はNGです。
レンジ相場、トレンド相場。それぞれで値動きの強さが異なる為、固定幅だと適切な場所でナンピンできない可能性が非常に高い。レンジ相場からトレンド相場へ発展してしまった場合、トレンド相場からレンジ相場になってしまった場合、どちらも固定幅でナンピンしていた場合、撃沈してしまいます。
そこで、オススメしたいのは次の2つの方法です。
・テクニカル指標のリズム利用する。
・フィボナッチリトレースメントを利用する。
テクニカル指標のリズムを利用する。
例)MACDを使ったナンピン
MACDのゴールデンクロスを使って売買しているトレーダーであれば、ゴールデンクロスの都度ナンピンを行うという方法がベスト。
例)RSIを使ったナンピン
RSIも同じく、買われすぎ、売られすぎからの逆張り手法を採用している場合、同じシグナルが出た時にナンピンするのがベストです。
重要なのは、ナンピンを1つのトレード手法として機能させるのではなく、既にある自身のトレード手法の中に組込み・共存させるということ。別々に機能させようとすると、現在採用しているトレード手法が正しいのかどうか?評価することができなくなります。ナンピンで勝てたのか?トレード手法で勝てたのか?分からなくなれば元も子もありません。
フィボナッチリトレースメントを利用する。
黄金比・比率を概念にしたフィボナッチリトレースメントとナンピンは非常に相性が良い。間近の値動きに合わせたフィボナッチリトレースメントを引き、その水準を利用してナンピンするのは理に適っています。
ロングしたものの、下落してしまった場合。フィボナッチリトレースメントの水準である161.8で2回目のロング、261.8まで下落すれば再度ロング。
ショートの場合も同じ。間近の値動きにフィボナッチリトレースメントを引き、不利な方向へ動いてしまった場合、161.8で2回目のショート、261.8で3回目のショートとします。
フィボナッチリトレースメントの161.8、261.8は抵抗線として機能する水準な為、反発が見込める価格帯です。またエリオット波動理論でも「波動の終点」と呼ばれています。比率から考えたナンピン場所であればレンジ相場であろうとも、トレンド相場であろうとも上手く平均価格を変化させることができ、理に適っています。
【最強】FXで失敗しないナンピンのやり方 まとめ
「エントリーに使う時間軸だけを見て、ナンピンを戦略的に行う。」
FXとナンピンは相性が悪い為、きちんとした戦略、技術を持って挑む必要があります。
- 突っ込む資金の量、ナンピンする回数を決定
- ナンピンする幅・間隔を決定
さらにナンピンするタイミングを調整する必要があります。
・テクニカル指標のリズム利用する。
・フィボナッチリトレースメントを利用する。
株と比べて、FXは脳死ナンピンをすると必ず失敗します。そうならないよう、しっかりと自身のトレード手法を検討し、上手くナンピン手法と調和させていきましょう。