短期・中期・長期の移動平均線3本表示は使えない。
移動平均線の使い方として3本の移動平均線を使う方法がよく紹介されています。知識としてそんな使い方があるんだねっていう程度ならいいものの、実際にトレードに使うことはオススメしていません。
なぜオススメしないのか?その理由について解説していきたいと思います。
短期・中期・長期の移動平均線を使った手法
チャートに短期・中期・長期と期間の異なる3本の移動平均線を表示させ、その向き、またクロスを利用して売買する手法があります。
例)3本の移動平均線の向きが揃ったタイミングで売買
このチャートを見ると一見とてもよく機能しているように見えます。
この他、移動平均線同士のクロスを売買シグナルとして使う取引手法も有名です。
例)短期・中期・長期の移動平均線のクロス
短期・中期・長期の移動平均線の期間はそれぞれ5日、25日、75日、もしくは13週、26週、52週という期間がよく使われます。
短期・中期・長期の移動平均線の併用をオススメしない理由
短期・中期・長期の移動平均線の併用をオススメしない理由は3つ。
- 売買タイミングが著しく減少する
- レンジ相場に極端に弱い
- トレンド転換に弱い
それぞれ解説していきたいと思います。
売買タイミングが著しく減少する。
移動平均線を3本使う場合、移動平均線の向きの組み合わせは3本×2方向(上昇、下落)の6パターンの組み合わせです。この内、全ての向きが一致するのは3分の1の2パターン。
対して2本の移動平均線の場合、2本×2方向(上昇、下落)の4パターンの組み合わせとなり、向きが一致するのは2分の1の2パターンです。
もし、2本の移動平均線を使って売買していたのに、3本意識してトレードするようになると50%の確率で発生していたシグナルが33%にまで減少してしまいます。
単純計算で売買回数の減少率は驚異の34%。
売買回数の減少率に見合った利益増加が見込めれば良いものの、2本の移動平均線から3本に替えただけで利益が34%も増加するなんてことはありません。
ある程度期待値の高いトレード手法を考案することができていれば、回転率、複利で資産を増やしていく必要があります。売買回数が大きく減少してしまうのは痛い。
レンジ相場に極端に弱い
移動平均線のクロスはレンジ相場に極端に弱いというデメリットを持っています。短期・中期・長期と3本の移動平均線を使うと、このデメリットがさらに強化されます。
例)2本の移動平均線の場合
例)短期・中期・長期の移動平均線の場合
画面に描写するテクニカル指標が増えれば増えるほど、トレードの判断が行いにくくなります。移動平均線に絶対の信頼がおけるならまだしも、参考程度に使うなら3本以上表示させると見にくくて仕方がありません。
トレンド転換に弱い
短期・中期・長期の3本の移動平均線を使うとトレンドに乗り遅れたり、底が発生したと思われる別のシグナルが発生してもエントリーできなかったり、トレンド転換に非常に弱くなります。
①で中期移動平均線を短期移動平均線が下抜いたので売りシグナル点灯、ただし、上昇トレンドへと転換したためトレードは損失へ。
②上昇トレンドが発生したものの、中期移動平均線を短期移動平均線が上抜けることはなく、傍観するしかありません。
③よくよく見れば、出来高が急増し、トレンド転換のサインが発生していた。
3本の移動平均線を使うと、天井や底の近辺でエントリーすることができず、なおかつ発生したトレンドに大きく乗り遅れてしまうことが多々あります。
まとめ
移動平均線を短期・中期・長期と3本も表示させると、売買回数が著しく減少し、複利・回転効果減少、レンジ相場に極端に弱くなり、たまに発生したトレンド転換にも乗り遅れること必須。
これらデメリットを超えるほどの期待値上昇も見込めないため、使わないことをオススメします。
ちなみに移動平均線を使ってトレードする場合、乖離率を利用したトレードをオススメしています。
もし良ければこちらも参考にしてもらえると嬉しいですね。