RSIの期間・パラメーター設定の方法、変更方法を学びたい方向けに解説!
オシレーター系テクニカル指標の代表格の一つであるRSI。
相場の過熱感を把握できるRSI。逆張りトレードを行うのであれば、チェックしておきたいテクニカル指標として、まず第一に名前が上がります。
RSIの計算式、使用方法、ダイバージェンスといった初歩的な内容を理解されている方向けに、RSIの期間・パラメーターの推奨設定、設定を鬼カスタマイズする方法についてまとめます。
もし、RSIの計算式、使用方法、ダイバージェンスといった内容を読まれていない方は先にこちらを読まれることをお勧めします。
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また、RSIを順張りで使うのか?逆張りで使うのか?といった考察記事もあるので、良ければこちらもどうぞ。
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RSIの期間・パラメーター設定の考え方を学ぶと?
RSIの期間・パラメーター設定の考え方を学ぶと次が可能になります。
✔株式、FX、指数先物、仮想通貨。すべての市場でRSIを使いこなせる
✔週足、日足、1時間足、5分足。すべての時間軸で適正なRSI期間を設定できる。
それでは早速、RSIの期間・パラメーターの解説に進んでいきましょう。まずはRSIの開発者、J.ウェルズ・ワイルダーの推奨設定値について。
RSIの開発者 J.ウェルズ・ワイルダー・ジュニアの推奨設定は 「14」
RSIはテクニカル分析の父と呼ばれているJ.ウェルズ・ワイルダー・ジュニアが開発したテクニカル指標。
テクニカル分析の父と呼ばれるだけあり、J.ウェルズ・ワイルダーは様々なテクニカル指標を開発しています。
J.ウェルズ・ワイルダー・ジュニアの開発したテクニカル指標
- RSI (Relative Strength Index:相対力指数)
- ATR(Average True Range)
- ADI(Average Directional Index)
- パラボリック SAR
テクニカル分析についてよく学ばれている方はどれも聞いたことのある指標だと思います。著書も多くあり、日本語訳された本をAmazonなどで購入することが可能です。
↑例。ただどれも良いお値段です。※私は購入済み。
さて、様々なテクニカル分析を開発したJ.ウェルズ・ワイルダー・ジュニアは、RSIの推奨設定を14だと説明しています。
RSIの期間・パラメーターを9、14、50にした場合のチャート比較
なぜ14を推奨しているのか?これは14以外の期間・パラメータを使用したチャート画像を見ると理由が分かります。
※クリックで拡大します。
RSI期間・パラメーター 50に設定
買われすぎである70、売られすぎである30へそもそも届かない。
→エントリーシグナルが発生しないため、このままではトレードに使用不可
RSI期間・パラメーター 14に設定
買われすぎである70、売られすぎである30へ程よく届く。
→程よくエントリーシグナルが発生する為、このままトレードに使用可。
RSI期間・パラメーター 9に設定
買われすぎの70、売られすぎの0へ簡単に届きすぎ、相場の加熱感が不正確に
→シグナル発生後も、その方向へ価格が強く動き、逆張りタイミングが早すぎて損をしがち
RSIは設定値「14」以外は総じて微妙なテクニカル指標へと成り替わります。
これはRSIの計算式が、RSIの期間14に対して、70が買われすぎ、30が売られ過ぎとなるよう最適化されているためです。ほかのパラメーターを使うと相場の過熱感を正しく表すことができません。
もしかしてRSIの期間・パラメーターは「14」以外は不適切?
というと、実はそうではありません。RSIは他のパラメーターも使用することができます。但し、買われすぎ70、売られすぎ30という水準を見直す必要が生まれます。
なぜ水準を見直す必要が生まれるのか?これを理解するにはまず、なぜRSIの期間を50といった大きい値にすると「買われすぎの70、売られすぎの30」へ届かなくなるのか?この原因を知る必要があります。
RSIの期間・パラメーターを大きく取ると、70や30に届かなくなる理由について
RSIの計算は次の通り。
関連記事:RSIの計算式を解説【エクセル配布有】
先ほどの記事で詳細を書いていますが、RSIの計算式を逆算すると
値上がり幅 1 に対して 値下がり幅が 約0.42以下 であればRSIが70以上
値上がり幅 1 に対して 値下がり幅が 約2.33以上 であればRSIが30以下
となることが分かります。
これを踏まえ、RSIの期間を14とし、買われすぎである70に届くチャートは次のようになります。
RSIが買われすぎの70に届くチャート像
RSIの期間が14であれば 値上がり幅1 に対し、値下がり幅約0.42がちょうどRSIが70となります
ではRSIの期間を14の倍である「28」とした場合、どのようなチャートであれば同じ買われすぎの70に届くのでしょうか?計算すると次の通り。
RSIの期間を28、期間14と変わらない加熱感を示すチャート像
期間を14から28へと2倍へ増やした分、上昇幅、下落幅が2倍となっている状態。これならRSIは70の水準へ届く。
しかし、実際の相場は期間が増えれば増えるほど、「持合い相場・レンジ相場」が計算期間に含まれる本数が増えます。
期間を増やせば、持ち合い相場がRSIの値に影響を及ぼす。
計算期間が倍となった分、上昇幅、下落幅も比例して倍になるという状態は実際の相場では発生しません。→結果、RSIのパラメーターを大きくすると買われ過ぎ70、売られ過ぎ30へ届きにくくなります。
逆にRSIの期間・パラメーターを短くしすぎると・・・
逆にRSIの期間を短くすればするほど、持ち合い相場が含まれる範囲が減ります。
その結果、買われすぎである70、売られすぎである30へ届きやすくなり、トレードシグナルが頻発してしまったり、70に届いたから天井だと判断し、売りを仕掛けるも、まだまだ価格が上昇してしまい損をしてしまうというような結果になります。
ここまでを踏まえると、RSIの期間を14以外にする場合、買われすぎの70、売られすぎの30という水準を見直す必要がある。ということが分かります。
RSIのオススメ設定値の目安
RSIを14以上とする場合、買われすぎ55~65、売られすぎ35~45
RSIを14以下とする場合、買われすぎ75~85、売られすぎ25~15
さて、ここからは少し難しい話になってきます。RSIのプロになりたいという方以外、オススメできない内容かも。
もし、概ねの目安ではなく、より正確に買われすぎ、売られすぎという水準をはじき出したい。
株、FX、先物、また日足、1時間足、5分足、1分足チャートといった自身のトレード環境に合わせて見直したい場合、次の方法があります。
より正確にRSIの期間に合わせ、買われすぎの70、売られすぎの30という水準を見直す方法
RSIの開発者 J.ウェルズ・ワイルダー・ジュニアの推奨設定である 「14」を基準にした場合、次のように計算を行い70、30という水準を変更することができます。
例)株式トレーダー、日足でRSIを期間28で使用する場合の計算例
①エクセルなどで日足14本の変化率を計算。
過去、150日分の1本目の始値~14本目の終値の増減率の平均値を計算
1日目 300円の株価が14日後に350円 50円÷300円=約16.6%
2日目 310円の株価が14日後に355円 45円÷310円=約14.5%
・・・以下150日分程度を計算し、増減率の平均値を計算 結果は約15%であった。
②エクセルなどで日足28本の変化率を計算。
過去、150日分の1本目の始値~28本目の終値の増減率の平均値を計算
1日目 300円の株価が28日後に400円 100円÷300円=約33.3%
2日目 310円の株価が28日後に385円 75円÷310円=約24.2%
・・・以下150日分程度を計算し、増減率の平均値を計算 結果は約25%であった。
③2つの変化率を利用し、70、30という水準の見直し。
RSIが14から28と期間が2倍になっているのであれば、変化率は15%の2倍の30%となっているはずです。しかし、実際は25%の変化率でした。
これをRSIの計算式に当てはめます。
期間14の場合の買われすぎの水準(値は比率の目安)
RSI=値上がり幅 1 ÷(値上がり幅 1 + 値下がり幅0.42)=約70
期間28の場合
RSI=値上がり幅 1 ÷(値上がり幅 1 + 値下がり幅0.42×30%÷25%)=約66が買われすぎの水準として妥当
期間14の場合の売られすぎの水準(値は比率の目安)
RSI=値上がり幅 1 ÷(値上がり幅 1 + 値下がり幅2.33)=約30
期間28の場合
RSI=値上がり幅 1 ÷(値上がり幅 1×30%÷25% + 値下がり幅2.33)=約33が売られすぎの水準として妥当
このように、RSIの期間を変更する場合、トレード対象のデータをエクセルなどで変化率を計算し、それに合わせて買われすぎの水準、売られすぎの水準を計算しなおすことが可能です。
そんな面倒な計算を行ってまでRSIの期間を見直しする必要があるのか?仮に期間を大きく取ることでメリットはあるのか?
さて、この作業はとても面倒です。
但し、RSIを自身のメインのトレードシグナルとして採用したいトレーダーであるならば、大きなメリットが生まれます。
それは期間の異なる2つのRSIを使用するトレード手法が採用可能となる。という点です。
期間の異なる2つのRSIを使った取引手法
RSIの開発者 J.ウェルズ・ワイルダー・ジュニアの推奨期間である「14」のRSIと、期間を「80」と大きく取り、売られすぎ、買われすぎの水準を適正に見直した長期RSIを利用した逆張り手法です。
上記画像は期間と水準が異なる2つのRSIを使用することで相場の天と底を上手く見極めることができた一例になります。
長期RSIが買われすぎ、売られすぎの水準に届いた時に短期RSIも買われすぎ、売られすぎの水準になった時に売買を行えば、このように相場の天と底を上手く掴む機会を得ることが可能になります。
RSIの期間・パラメーターについてのまとめ
RSIは基本的に14で使えばOK。
ただし、RSIだけ相場の天井と底を正確に狙い打ちたい場合、70、30という過熱水準を見直した複数のRSIを使いこなす必要があります。
ただコレ、ちょっと面倒なので実際はMACDと組み合わせて使う人が多い。
関連記事:【最強】勝率が変わるMACDとRSIの組み合わせ方とは?
RSIについては他の記事でも多く取り上げて解説しているので、良ければ合わせて読んでみて欲しいですね。
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