✔ ストップ安、ストップ高となる値幅制限表を確認したい。
✔ 値幅制限を理解し、効率的に株取引をしたい。
そんな株式トレーダーに値幅制限について解説していきたいと思います。
値幅制限について理解しておくと、資金効率を上げる株の選び方まで身に着けることができるかも!?
「値幅制限とは株のストップ高、ストップ安の基準となる価格の変動幅のこと」です。
値幅制限表
この表はどれくらい株価が動けばストップ高、ストップ安になるのかが分かる値幅制限表です。
それではそもそも値幅制限とは何か?基本から解説をしていきたいと思います。
株取引の値幅制限とは?
値幅制限とは株価が1日に変動できる上下の幅を制限する仕組みです。
もし値幅制限が無いと、1日の間に株価が3倍、逆に10分の1になることもあります。
マージン・コールが発令:香港証券取引所でチャイナ・ファースト社の株価が数分間で78%の大暴落 BonaFidr 2019年12月/02日掲載
先週水曜、香港証券取引所で取引されている、中国首控集団(チャイナ・ファースト・キャピタル・グループ、以下チャイナ・ファースト社)の株価が、数分間で78%の大暴落を記録したとブルームバーグが報じていた。投資持株会社であるチャイナ・ファースト社が一部保有している別の会社、成実外教育(バーセンド・エデュケーション、以下バーセンド社)の株価も、同日、一時80%も急落した(しかしこの日、バーセンド社の株価は最終的には33%の下落で取引を終えた)。両社の株価急落により、この日、香港の株式市場からは12億ドルの時価総額が消失した計算になる。
このように値幅制限が無いと、一時的なパニック相場が形成され、本来損失を抱えなくても良い投資家が損を抱えてしまうことがあります。
先ほどの香港証券取引所の例でも、数分で78%下落したのち、そこから45%も上昇し、33%の下落で取引を終えています。
中には下落しきった大底で損切りしてしまった投資家も多く存在していたでしょう。
株式市場に限らず、価格が大きく動くと、損切り注文を巻き込み、さらに大きな変動が発生する可能性があります。
株価が下落→耐え切れずに保有している株を売りに出す→売り注文が加わりさらなる株価下落を招く→さらに損に耐えられない人が売り注文を出す→さらに株価が下落する・・・。
海外の証券取引所の値幅制限情報
値幅制限は日本国内だけでなく、海外の株式市場にも導入されています。
ただし、導入している国、導入していない国があり、参考にまとめると次の通りです。
◆値幅制限を導入している海外の証券取引所
上海証券取引所:値幅制限の基準 前日の終値±10%
深圳証券取引所:値幅制限の基準 前日の終値±10%
台湾証券取引所:値幅制限の基準 前日の終値±10%
タイ証券取引所:値幅制限の基準 前日の終値±30%
マレーシア証券取引所:値幅制限の基準 前日の終値±30%
◆値幅制限を導入していない海外の証券取引所
ニューヨーク証券取引所:値幅制限なし
NASDAQ:値幅制限なし
ロンドン証券取引所:値幅制限なし
フランクフルト証券取引所:値幅制限なし
ユーロネクスト:値幅制限なし
オーストラリア証券取引所:値幅制限なし
海外の値幅制限についてまとめると、先進国ほど値幅制限を導入していないことが分かる。
どうやら日本は投資家保護色の強い国家のようです。
値幅制限表から分かる「資金効率の高い株は低位株」
値幅制限表をよく見ると、株価が小さい低位株ほど、ストップ安、ストップ高となるのに必要な増減率が多いことが分かります。
つまり、低位株ほどストップ安、ストップ高が発生しにくいです。
低位株は1日に増減する割合が高い為、高いパフォーマンスを目指すことが可能です。
よって、ハイリスクハイリターンなトレード、特にデイトレードといった短期売買トレーダーであれば、低位株を中心に株のスクリーニングを行うのがオススメです。
低位株についての参考記事:低位株とは?おすすめの低位株など
値幅制限に関する特例措置
値幅制限にはいくつかの特例措置があります。
ストップ高/安が続くと値幅制限は拡大する。
発生確率は極めて少ないものの、一定の条件を満たした上でストップ高/ストップ安が3日連続で続いた場合は、その方向への値幅制限が2倍になります。
・該当日の3日間の出来高がゼロ
・出来高がある場合、すべてストップ高/ストップ安価格での約定
達成条件は非常に厳しいものとなっている為、発生確率は低い。
また値幅制限の拡大措置の実施以降、ストップ高/ストップ安価格以外での約定が1株でもあれば、その翌営業日に拡大措置が解除され通常の値幅制限に戻されます。
◆値幅制限解除の実例
日本取引所グループ マーケットニュース 2019/08/30 制限値幅の拡大:(株)ポラテクノ
(株)ポラテクノ 株式(コード 4239)は、東証において3営業日連続して以下の(1)又は(2)に該当したため、翌営業日(9月2日)においては、以下のとおり、制限値幅(上限のみ)を拡大することといたしますのでご注意下さい。
(1)ストップ高となり、かつ、ストップ配分も行われず売買高が0株
(2)売買高が0株のまま午後立会終了を迎え、午後立会終了時に限りストップ高で売買が成立し、かつ、ストップ高に買呼値の残数あり制限値幅(上限):300円(下限は通常どおり150円)
基準値段:867円、ストップ高:1,167円、ストップ安:717円
整理銘柄に選ばれると下限値幅が撤廃
また、経営破綻(破産法・会社更生法・民事再生法の申請)や、重大な不祥事により整理銘柄に指定されると、指定された日の翌々営業日より、下限値幅が撤廃されます。
下限値幅の撤退というと、極端に言えば翌日に株価99%下落の可能性もあります。
こちらも、先ほどの例と同じく最初に約定した日の翌営業日に解除され、通常の値幅制限に戻されます。
◆整理銘柄入りによる下限制限解除の実例
日本取引所グループ マーケットニュース 2019/01/18
東証 売買の取扱いについて:(株)シベール株式
当取引所は、(株)シベール株式(コード2228、以下「同社株式」といいます。)を整理銘柄に指定し、2月18日に上場廃止する旨を公表しておりますが、同社株式の本日(1月18日)の売買では、制限値幅の下限値(1030円)において、大幅な売り越しとなり、ストップ配分によらない方法によって約定値段が決定するまでに時間がかかることが想定されます。
上記の状況に加え、同社株式に係る売買可能期間が限定的であることを踏まえると、需給合致値段への移行を速やかに行ったうえ、整理売買期間における継続的な売買機会を早期に提供することが適切であると考えられます。
上記の観点から、当取引所は下記のとおり呼値の制限値幅の撤廃及び基準値段の変更を行うことを決定いたしましたので、ご連絡申し上げます。基準値段 500円、値幅上限値 600円、値幅下限値 1円
ちなみにその時のシベールの株価推移は次のようになりました。
1,000以上あった株価が翌日には204円へと約80%近く下落しました。
新規上場銘柄(IPO)の値幅は4倍~1/4倍
新規上場銘柄(IPO)は、上場初日の初値決定前は公募価格を基準価格とし、その基準価格の4倍を上限値幅、基準価格の1/4が下限値幅になります。
とはいっても初値が付いた時点で、通常の値幅制限となるので、上場初日に初値から株価が4倍になるというようなことは起こりません。
あくまで、公募価格に対しての初値の値幅が4倍~1/4倍という話です。
◆新規上場銘柄の公募価格と初値価格実例
公募価格3,600 初値12,600円 暴落率:250% 上場日2019/12/25
公募価格960 初値4,535円 暴落率372% 上場日2019/12/17
公募価格1,700 初値4,020円 暴落率136% 上場日2019/12/10
株の値幅制限とは?値幅制限一覧表、ストップ安、ストップ高との関係まとめ
・値幅制限とは株のストップ高、ストップ安の基準となる価格の変動幅のこと
・値幅制限により、投資家は不測の損害を受けてしまうことが減る。
・いくつかの条件が重なると、値幅制限が拡大することがある。
値幅制限を理解した後は、実際に値幅制限に掛かり、ストップ安、ストップ高となった銘柄をどのように売買していくか?
こちらも知っておいて損はないはず。良ければこちらの記事もオススメです。