陽線や陰線ってどれくらいの確率で連続するの?
これが分かればトレードが有利に進むこと間違いなしですよね。例えば”3連続陽線の後、次も陽線となる確率が50%以上”と分かれば、単純な丁半博打の繰り返しでもプラスに持って行くことが可能。そんな期待をかけて、陽線や陰線の連続確率を調査しました。
陽線、陰線の連続確率 調査結果
調査に使うのはドル円の四本値データ(2010年1月~2018年8月末)。約9年間のデータを使い、陽線や陰線はどの程度連続するのかまとめると次の通り。
これだけだと少し分かりにくいので、特徴的な箇所を抜粋して紹介したいと思います。
日足は陽線、陰線共に4連続以降の確率が低い
日足が4連続陽線が続く確率は41%、4連続陰線が続く確率は48%と、どちらも50%を下回ります。これは土曜日を除いた日足データでも同じ傾向が見られます。
また4連続未満の小さな連続は50%前後に収束している為、”今日陽線だったから明日も陽線となる。”というトレンドの継続性は無し。
陽線、陰線の連続確率的に見れば、3連続陽線が発生した後、4連続目は反発すると見込んで逆張りするのが有効。
週足は1連続確率高、2連続目で反発する傾向あり。
週足で1連続陽線が続く確率は51%、1連続陰線が続く確率は56%と、どちらも50%を越えています。”先週は陽線だったから、今週も続けて陽線となる”という確率が少し高めです。
ただし、”3週間目は陽線40%、陰線49%と50%”を下回るため、3週間続けて陽線や陰線が続くことは少ない。
月足も1連続確率高、2連続目で反発する傾向あり。
週足と同じ傾向が月足にも見られます。
1連続陽線・陰線が続く確率は55%。対して2連続陽線が発生する確率は39%、陰線が発生する確率は48%。
ここまで日足~月足の陽線、陰線連続確率を調査してみましたが、ぶっちゃけトレードに採用したいレベルのデータは得られませんでした。
3連続する確率は70%。いうようなデータが得られればトレードに採用したいものの、微妙な結果ばかり。そこで視点を変えて、もう一度分析しなおそうと思います。
トレンドにおける陽線、陰線の発生確率
ところで、「上昇トレンド」とというと下記どちらのパターンを想像しますか?
Aパターン | Bパターン | |
陽線の割合 | 70% | 50% |
陽線の平均値幅 | 100pips | 150pips |
陰線の平均値幅 | 100pips | 50pips |
Aは陽線の発生確率が高くなったことで、結果的に価格は上昇。上昇トレンドのようなチャートを描いたパターン。
対してBは陽線、陰線の発生確率は変わらないものの、陽線の平均値幅が高く推移したことで、上昇トレンドのようなチャートを描いたというパターンです。
仮にAパターンが多く見られるのであれば、シグナルが遅れて出てくる移動平均線のクロス、MACDのクロスといったテクニカル分析が有効に機能します。
対してBパターンが多く見られる場合、ブレイクアウト手法や逆張り手法が有効に機能します。
最初の分析ではチャート形状を考えず、単純に約9年間のデータを分析しました。次はチャート形状と、陽線、陰線の連続確率を分析し、トレンド発生時の正しいチャート形状、また有効な取引手法を導きだそうと思います。
確率分析期間は5つ
分析は年単位とし、2013年~2017年末の5年間で実施します。
分析する5期間
それぞれの期間にて、陽線・陰線ごとの発生数、発生確率。
始値と終値の差、始値と高値の差、始値と安値の差、高値と安値の差平均を集計。
結果が次の図となります。
この集計結果の内、陽線・陰線の発生確率をチャート画像に追記します。
すると、上昇トレンドであれば、陽線の発生確率が高くなる。と思いきやそうでもない。5年の内、一番差が開いたのは2014年で陽線53.9%、陰線46.1%。結構強めの上昇トレンドでも、そこまで陽線の確率が高くならないと分かります。
2013年も上昇トレンドですが、五分五分の発生確率。トレンドの方向性と、陽線、陰線の発生確率の相関性は少な目です。トレンドは陽線、陰線の出現確率よりも、値幅の大きさの影響が強いのでは?と推測できます。
トレンドは陽線、陰線の確率ではなく、値幅の大小が影響?
次に、陽線・陰線の発生確率ではなく、始値-終値の幅をチャート画像へ貼り付けてみます。
推測通り、上昇トレンドであれば陽線の値幅が大きく、下落トレンドであれば陰線の値幅が大きくなる傾向が見て取れます。
トレンドはBパターンで形成される
Aパターン | Bパターン | |
陽線の割合 | 70% | 50% |
陽線の平均値幅 | 100pips | 150pips |
陰線の平均値幅 | 100pips | 50pips |
さて、このチャート形状に対し、何のテクニカル指標を選べば良いでしょうか?考察を進めて行きます。
クロス系(順張り系)テクニカル分析は機能しにくい
Bパターンのトレンドは、クロス系テクニカル指標が苦手とする値動きです。
例)移動平均線のクロスによる利益見込み幅の違い
クロス系シグナルはロウソク足の終値が確定した時点でエントリーシグナルを発します。この為、既に大きく動いたトレンド、また陽線が続かないトレンドほど見込み利益幅が小さくなってしまいます。
少なくともドル円の日足ではクロス系のテクニカル指標は利益を獲得しにくいことが分かります。
ブレイクアウト手法、逆張り手法が有効
陽線・陰線の発生確率の影響を及ぼさない取引手法としてブレイクアウト手法、逆張り手法があげられます。
過去X日の高値、安値。市場参加者が注目している水準。トレンドライン。サポート、レジスタンス。など
特にトレンド方向に沿った取引を行うのであれば、ブレイクアウト手法が有効。
例えば価格が3本連続で上昇するとして、最初の1本が大きく動き、続く2本はそれほど動かなかった場合、クロス系(順張り系)テクニカル分析の利益額は減ります。対してブレイクアウト手法の利益額は影響を受けません。
ブレイクアウト手法はトレンド序盤に価格が動こうと、後半で動こうとも利益に影響はありません。逆にクロス系シグナルは序盤に価格が大きく動いてしまうと利益額が減少してしまいます。
ドル円の日足は陽線・陰線の発生確率に大きな偏りは発生せず、始値-値幅の大きさでトレンドが形成される傾向にあります。よって、価格水準だけで取引するブレイクアウト手法、逆張り手法が有効。
【FX】陽線、陰線の連続確率を調査した結果 まとめ
陽線の次は陽線となる確率が高い。そんな傾向はドル円の日足、週足、月足で少し見られるものの、トレードに採用できるレベルではありません。
また上昇トレンドだから陽線が連続する確率が高い。という傾向もなく、値幅(始値-高値)が大きくなることでトレンドが形成される傾向にあります。
よって、クロス系(順張り)系テクニカル分析は機能しにくく、ブレイクアウト手法、逆張り手法が有効に機能しやすい。
ちなみに、後程作成した「FXスキャ研1 1分足、5分足でのRSIスキャルピング ドル円編」でも今回の記事を裏付けることができました。やはりドル円はブレイクアウト系や逆張り系が有効に機能すると判断しています。