ポンド円に有効なスキャルピング手法を調査!
ポンド円に有効なスキャルピング手法ってあるの?という疑問を抱いている方も多い。私もその一人です。そこでこれまで作ってきた自動売買プログラム(EA)を使い、ポンド円に有効なスキャルピング手法を調査しました。
結果から言うと、RSIなら深夜2時~深夜4時頃のシグナル、MACDなら早朝6時~7時頃のシグナル、ストキャスティクスなら深夜2時~6時頃のシグナルが優秀。
スキャルピングする時間によって結果が大きく異なるということを改めて確認できました。では早速行きましょう。
ポンド円とスキャルピングは相性が悪い
ポンド円は”よく動く”からスキャルピングに人気。
ドル円は1日に70pips前後しか動かないのに、ポンド円は120pips近く動きます。値動きの多いポンド円をスキャルピングした方がpips数を稼ぎやすいのは確か。
取引に必要な証拠金の額もドル円とさほど変わらないため、ポンド円は資金効率も優秀。
ドル円とポンド円比較表
通貨ペア | ドル円 | ポンド円 |
必要証拠金(1万通貨) | 約4万2千円 | 約5万4千円 |
値動き | 平均70pips | 平均120pips |
スプレッド | 0.2銭 | 1.0銭 |
単純に値動きの量で考えればポンド円120pips÷ドル円70pips=約1.7倍、対して増える必要証拠金は約1.3倍。少ない資金で大きく稼ぐならポンド円一択。
とはいってもポンド円のスプレッドは広く、どんなFX業者を選んだとしても概ねドル円の5倍以上。ポンド円はドル円以上に手数料負けとなる可能性が高いため、シビアなトレード手法が求められます。
値動きに対し、手数料の比率がどの程度高いのか?具体的にまとめると次の通り。
ポンド円の手数料比率
通貨ペア | ドル円 | ポンド円 |
スプレッド | 0.2pips | 1.0pips |
1時間の値動き(15時~24時) | 平均12pips | 平均30pips |
手数料比率 | 1.66% | 3.33% |
値動きの量で比較すると、ポンド円のスキャルピングはドル円の2倍以上の手数料比率。
「たかが3.33%の手数料ならドル円とさほど変わらないじゃない?」ポンド円でも十分にスキャルピングで勝てるでしょ。」という意見もあります。が、勝率も含めて考えると、手数料の問題は非常に大きいと分かる。
ポンド円スキャルピングの勝率が手数料に及ぼす影響
通貨ペア | ドル円 | ポンド円 |
スプレッド | 0.2pips | 1.0pips |
1回辺りの勝ち幅・負け幅 (スプレッド分無し) | 12pips | 30pips |
10回売買 勝率60% 最終利益に占める手数料比率 | 16.6% =(0.2pips×10回)/利益12pips | 33.3% =(1.0pips×10回)/利益30pips |
10回売買 勝率70% 最終利益に占める手数料比率 | 4.16% =(0.2pips×10回)/利益48pips | 8.33% =(1.0pips×10回)/利益120pips |
10回売買 勝率80% 最終利益に占める手数料比率 | 2.77% =(0.2pips×10回)/利益72pips | 5.55% =(1.0pips×10回)/利益180pips |
ポンド円で勝率60%だと利益に占めるスプレッド比率は33.3%と激高です。もし、1回辺りの勝ち幅、負け幅が15pipsだとこの比率は倍の66.6%。10pipsならギリギリ黒字です。
ポンド円はスプレッドが大きい分、売買1回辺りの獲得pipsを大きくしないと、手数料負けの可能性が非常に高くなります。
よって、獲得pipsが小さいスキャルピングはポンド円に不利。
ポンド円でスキャルピングするなら、ドル円以上に有効な取引手法を作らなければばなりません。
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ポンド円に有効なスキャルピング手法って?
ドル円やユーロドルといったドル絡みの通貨ペアは外国為替市場で高いシェアを持ち、オプション取引、通貨先物取引でも注目を浴びています。
この為、100.00、105.00といったキリの良い価格帯を意識した値動きが見られたり、間近の高値・安値も今後の方向性を占う上で重要な役目を果たします。
このことからチャートパターン通りに価格が動くことも多く、またフィボナッチリトレースメントといった比率に基づくトレード戦略も有効に機能します。
ドル円などはチャートを注目しているトレーダーが多い分、大衆意識が作用した価格形成が行われます。これがテクニカル分析が通用しやすい理由。
対してポンド円はドル円とポンドドルを掛け合わせて作られた合成通貨。
日本とイギリスは貿易関係の結びつきも弱く、ポンド円の為替レートを実需勢が注目する度合いも非常に小さい。※イギリスの総輸出に占める日本の割合1.7%。日本からの輸入割合2.1%
このことから、ポンド円の成り行きはドル円の成り行き、ポンドドルの成り行きに影響されることが多く、ポンド円のチャートを分析すれば、ポンド円の今後を予測できるとは言いにくい。
とはいっても、やれるだけのことはやってみよう。ということで、以前作った売買ルールをポンド円に当てはめて有効なスキャルピング手法はあるのか?調査してみようと思います。
今回、検証に使用するトレードルールは過去のスキャルピング研究録1~3で使用した次の売買ルールです。
70以上でショート、30以下でロングのドテン売買
・MACDスキャルピング
ゴールデンクロスでロング、デッドクロスでショート。
・ストキャスティクススキャルピング
80以上でショート、20以下でロングのドテン売買
細かいトレードルールは過去記事を参照→過去のスキャルピング研究録1
それぞれ、何時から何時の間に発生したシグナルが優秀なのか?といったポンド円の時間帯の特徴も見ていきたいと思います。
ポンド円の5分足、2018年1月~2020年9月までの四本値データを使用
MetaTrade4のストラテジーテスター使用、時刻はGMT+2を使用(+6時間で日本時間)
ポンド円でRSIスキャルピングをした場合
RSIを使ってポンド円をスキャルピングする場合、深夜2時~深夜4時頃に発生したRSI70以上でショート、30以下でロングという取引が優秀。
資産は次のように順調な右肩上がり。
深夜2時~深夜4時頃にRSIを使った逆張りスキャルピングが機能した理由は、欧州タイムから米国タイムにかけて発生したトレンドの揺り戻しが発生しやすい時間帯だからとも考えられますね。
また15時~17時のRSIシグナルも優秀。
こちらも多少の乱高下はありつつも、RSIがきちんと機能していることが分かります。
対してRSIが最も使えない、大損ばかりの時間帯は18時~22時。この時間帯にRSIを使うのは避けた方が懸命です。
RSIを使ってポンド円をスキャルピングするなら深夜2時~深夜4時頃、また15時~17時に限定して取引すべきです。
ポンド円でMACDスキャルピングをした場合
次にMACDを使ったポンド円スキャルピングを検証。パラメーターは基本的な(12:26:9)とし、単純なゴールデンクロスでロング、デッドクロスでショートという手法です。
最も勝てた時間帯は朝6時~7時の間に発生したシグナル。
とはいっても先ほどのRSIと比べると勝ち幅も小さく、心もとない資産推移です。
そして、それ以外の時間帯のシグナルは全滅。ポンド円とMACDは非常に相性が悪い。例えば丸一日、MACDのシグナルに基づきポンド円スキャルピングをすると、資産はみるみる減っていきます。
大きなトレンドが発生すれば儲かるMACD。ポンド円は上がったり、下がったりというレンジ相場のような値動きが多い為、MACDとは非常に相性が悪い通貨ペアです。
ポンド円でストキャスティクススキャルピングをした場合
最後にストキャスティクスを使ってポンド円をスキャルピングしてみます。パラメーターは基本の5:3:3。
稼げた取引時間は深夜2時~6時。
大した成績ではないものの、RSIと同じくポンド円は深夜に発生する逆張りシグナルが有効だと分かります。ちなみに深夜以外のシグナルはどれもパッとせず、最終損益はマイナス気味。
そこで深夜2時~6時と時間を絞った上で、最も有効なストキャスティクスのパラメーターを調べます。変更するパラメーターは%Kのみとし、他のパラメーターはそのままとします。
結果、%Kの値は40前後、例えば(40:3:3)といったパラメーターを取ると成績が格段に向上しました。
色んな記事でも書いていますがストキャスティクスはパラメーターを長期間に設定した方が良い取引手法になります。これはポンド円の5分足スキャルピングでも証明することができました。
ポンド円のスキャルピング手法 調査まとめ
RSIなら深夜2時~深夜4時頃のシグナル
MACDなら早朝6時~7時頃のシグナル
ストキャスティクスなら深夜2時~6時頃のシグナルが優秀。
最初はポンド円のスキャルピングに懐疑的でした。が、実際いくつかの取引手法をポンド円で試してみた所、スプレッドを差し引いても収支をプラスに持って行けるポンド円スキャルピング手法を見つけることができました。
実践投入するにはもう少し検証・調査を重ねなければなりませんが、「ポンド円のスキャルピングってどんな風にしたら良いの?」と疑問を抱えている人にはちょっとした気づきを提供できたと思います。
この他、FXトレーダーに役立つ様々な記事を公開しているので、良ければ合わせて読んで貰えると嬉しいですね。最後までありがとうございました。