FXデイトレード・スイングトレードって買って読むべき?
そんな疑問を抱えているFXトレーダーの方に私が読んでみた感想を紹介します。書評ということで多少のネタバレも有り。書店でも購入できるので、立ち読み気分で読んでみて貰えると嬉しいですね。
FXデイトレード・スイングトレードってどんな本?
FXデイトレード・スイングトレードはAmazonなどで購入できるFX本。海外の名著「 Day Trading and Swing Trading the Currency Market」の翻訳書です。
著者はキャシー・リーエン(Kathy Lien)。ニューヨーク大学を18才で卒業。その後JPモルガンの外国為替取引デスクに配属。外国為替の実務経験は20年超えのベテラン。
本書のみならず、数多くの書籍を執筆されており、私は何度もお世話になっている著者。
ちなみに最初に彼女を知ったのは2007年に発売された旧版「FXデイトレーディング」。
発売から13年以上も過ぎている為、旧版「FXデイトレーディング」で紹介されている手法や考え方は今やネット上で見かけることも多い。
ただ2007年当時で考えればこの本の内容は衝撃的。ググっても出てこない斬新な取引手法ばかりで、自身のトレードアイデアを見直す良い切っ掛けになりました。
そんな旧版「FXデイトレーディング」の最新版が「FXデイトレード・スイングトレード」。入手してみると目次だけで11ページ。
わくわくしつつ、一気に読み通しました。早速、本の感想を紹介していきたいと思います。
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FXデイトレード・スイングトレードを読んだ感想
読んだ感想を一言でいうと「情報が濃すぎて読む人を選ぶ本」
・日本人の書いた本しか読んだことが無い人
・テクニカル分析だけのトレーディングで頭打ちしている人
・自分で考えることのできるFX経験者
そんな人には新しい発見、学び、気づきが得られる良書。逆に書いてある内容をそのまま実践すれば稼げるようになる。そんな本を探している人にはオススメしません。
紹介されているテクニカル分析手法は9つ。ファンダメンタル分析手法は8つ。
これらを単品で実践するだけでも、FX初心者から脱することは可能。ただし、多くの取引手法を紹介したために、1つ1つの考察が少し甘め。
本書で紹介されているトレード手法
テクニカル分析 | ファンダメンタル分析 |
1.マルチタイムフレーム分析 | 1.通貨の強弱を測る方法 |
2.二重のボリンジャーバンドを使う | 2.レバレッジド・キャリートレード |
3.ダブルゼロで反転を狙う | 3.マクロ・イベント・ドリブン・トレード |
4.本来の値動きを待つ | 4.商品相場を先行指標に使う |
5.はらみ足のブレイクアウトを狙う | 5.債権の利回り差を先行指標に使う |
6.ダマシのブレイクアウトで逆を張る | 6.リスク・リバーサル |
7.間近20日間のブレイクを狙う | 7.オプションのボラティリティを使う |
8.チャネルレンジ・ブレイクアウトを狙う | 8.中央銀行による為替介入 |
9.パーフェクトオーダーの形成で仕掛ける |
例えば1.マルチタイムフレーム分析。
マルチタイムフレーム分析は日足の流れを見て1時間足でトレードをする。といった複数の時間軸を使って大きな流れに沿った取引を行う方法の1つ。理に適った取引手法のように見えるものの、連敗する可能性を秘めた難しい取引。
2.二重のボリンジャーバンドを使う。
ボリンジャーバンドは統計学に基づくテクニカル分析。±2σのバンドだけでなく、±1σのバンドを使うことで、ボラティリティの変化に合わせた有効な取引が可能。ただ、ボリンジャーバンドは理論上よりも低確率の信頼性。私はオススメしていません。
外国為替市場全体に焦点を当てた書籍の為、1つ1つの項目が薄くなってしまった面があると思います。ただ、非常に有効な取引手法も紹介されています。
例えば3.ダブルゼロで反転を狙うです。
110.00、111.00といった末尾2桁が00となる心理的に切りの良い価格帯。サポートやレジスタンスとして機能するこも多く、絶好のトレード機会を提供してくれます。
本書で紹介されているこの取引手法は大好き。実は私も何年も実践しています。非常に有効な戦略なので本書を読み、具体的な取引手法を知って欲しいですね。
この他のテクニカル手法は非常に同意できるもの(4.6.8)、あまり同意できないもの(5.7.9)と意見が分かれました。記載されている情報を全てそのまま真似するのはオススメできません。
そういった意味でも「読み手を選ぶ本」だと思います。
ただし、ファンダメンタル分析手法は全てレベルが高い。
トルコリラ、南アフリカランドといった高金利通貨に投資するFXトレーダーは2.レバレッジド・キャリートレードは必読。
3.マクロ・イベント・ドリブン・トレードでは大統領選挙、欧州債務危機といったイベントがどのような影響を為替相場に与えたか知ることができます。
金融政策の1つ量的緩和。各銀行が量的緩和を発表した時の為替相場の動きは実はそれぞれ違うという事実も学べます。
米国の発表時、英国の発表時、日本の発表時、ユーロ圏発表時。それぞれの為替相場へ与えた影響を網羅的に学べるのは本書のみ。
FXデイトレード・スイングトレードはテクニカル分析を学ぶというより、ファンダメンタルと為替相場の繋がりを学べる書籍です。
これは書籍の目次からも見て取れます。
本書全33章の内、テクニカル分析の解説は9章。残り24章は外国為替の歴史、動かす要因、ファンダメンタル分析、通貨の特徴といった実体経済に重点を置いた解説です。
ファンダメンタルというと、経常収支、資本収支、国際収支、GDPなどなど、人によっては苦手な語句が度々登場します。
本気でFXトレーダーを目指すなら避けて欲しくないものの、濃い経済用語が遠慮なしに出てくるので、途中で逃げ出す人もきっと出てきます。値段もボチボチ高い本だけに、中途半端な気持ちで読み始める人は買っても役立てることができない・・と思います。
FXデイトレード・スイングトレードって買うべき?
次のどれかに当てはまる人は購入をオススメします。
・日本人の書いた本しか読んだことが無い人
・テクニカル分析だけのトレーディングで頭打ちしている人
・自分で考えることのできるFX経験者
そこらの書店に並んでいるFX入門本、○○円を○○か月で何倍に、といった書籍と比較にならないほど情報が濃い。外国為替市場を網羅的に学べる数少ない良書だと思います。
海外の名著「 Day Trading and Swing Trading the Currency Market」の翻訳書。FXデイトレード・スイングトレードの価格は下記リンクより確認できます。