FXのスキャルピングが難しい。どうしても勝てないんだけど?なぜ?
みんな本当のことを言わないので私からお伝えします。なぜスキャルピングは難しいのか?どうして勝ちにくいのか?なぜ儲からないのか?スキャルピングが抱えている問題点を正直にお話しします。
スキャルピングが難しいのは、簡単なイメージを植え付ける業者の影響大
デイトレードを遥かに凌ぐ超短期売買スキャルピング。その手軽さからFXはスキャルピングが主流となっています。
1pips~数pipsという僅かな利益をコツコツ積み重ね、複利で資産を回していけば半端ないスピードで資産が増えるスキャルピング。専業トレーダーも夢ではありません。
というのが、FXのスキャルピングを勧める業者の宣伝文句でしょうか。小さな資金でOK、誰でもチャンスあり、コツコツ毎日、億トレーダーも多い。なんとも魅力的なフレーズばかり。
巧みな言葉で「スキャルピングは儲かる」と、取引を勧める方が多いですが、鵜呑みにしては×。FX業界は真っ黒なので、嘘や噂、不正確な情報がとても多い。
「スキャルピング3年で1億稼いだ私のトレード手法」
「1年で資産が20倍となったFXのスキャルピングツール」
「会社員の副業としてぴったりなFXのスキャルピング手法について解説」
このようなタイトルで書かれた記事はとても魅力的で、多くのアクセスを集めることができます。アクセスが増えれば広告収入も得られるし、情報商材の売上も増加します。
「スキャルピングは儲かる」という記事の性質が悪い点はスキャルピングを勧める割には「難しさ」、「考えなければいけない点」といった内容を伏せていたり、紹介されているトレード手法も曖昧で検証・再現が不可能という点。
そういった質の悪い、無責任な記事を回避し、スキャルピングの正確な情報を知ろうしても、検索結果には業者の提灯記事がばかり。内容の濃い、本当に参考になる情報と中々出会うことができません。
結果、「スキャルピングは私にできそうだ」と思い込み、「正しい情報」を学ぶ間もなく、大損を抱えて退場してしまう初心者トレーダーが後を絶ちません。
私はスキャルピングに対し、様々なデータ検証、実践を重ねてきました。
そんな私が「スキャルピングが難しい理由、勝てない原因。なぜ儲からないのか?」を解説したいと思います。10年以上生き残ったガチトレーダー視点なのできっと参考になると思います。
スキャルピングはFX業者に依存するから難しい
FXの値動きは取引するFX業者の会社のカバー取引先、FX業者の取引ソフトの挙動に大きく影響を受けます。この為、A社のチャートとB社のチャートの値動きが全然違うという事態が発生します。
これはA社で通用していたスキャルピング手法がB社で通用しない可能性があることを意味。スキャルピング手法はFX業者に依存します。
またスキャルピングといっても秒スキャと、そうでないスキャルピングの2種類に分けることができます。秒スキャは経済指標発表時の実践すると、短時間で大きく稼ぐことが可能な手法。といっても秒スキャは禁止・口座凍結となるFX業者も。
外為どっとコム 口座凍結調査記事はこちら
GMOクリック証券 口座凍結調査記事はこちら
YJFX 口座凍結調査記事はこちら
OANDA 口座凍結調査記事はこちら
FXTF 口座凍結調査記事はこちら
ちなみに秒スキャするならヒロセ通商が候補になるものの、ヒロセ通商しかオススメは無い。残念。
Tips カバー取引とは?
FXトレーダーが注文を出した後、FX業者は別の金融機関に注文を取り次ぎます。これをカバー取引と呼び、取り次ぎ先の金融機関をカバー先と呼びます。
私たちトレーダーが見ている為替レートは、カバー先からFX業者へ掲示された価格です。この為、カバー先が違うと為替レートも異なるという事態が発生します。
FX業者により価格が違うからスキャルピングは難しい
例えば外為オンラインはドイツ銀行、三井住友銀行、OCBC証券の3社にカバー取引を行っています。対してDMM FXはSaxoBankやFXCMジャパンなど10社以上にカバー取引を行っています。
この為、外為オンラインの値動きと、DMM FXの値動きは全く違います。値動きえばティックチャート、1分足チャートの高値、安値、始値、終値、陽線、陰線も異なってくるということ。
それらが異なればテクニカル分析の値も変化し、A社では売買シグナルが発生したけど、B社では売買シグナルが発生しない。ということも。
よってA社で稼ぎつづけるスキャルピング手法を編み出したとしても、B社では通じない。優秀なスキャルピング手法を教えてもらっても、どこで取引すれば良いのか?が問題になります。
スキャルピングは業者に依存しやすい取引手法です。だから難しい。
ティックチャートなどの優秀なツールがあれば勝てるという思い込み。
1分足よりも価格の値動きが敏感なティックチャート。10年前には実装しているFX業者も少なく、神ツールと呼ばれていました。
FX業者の中にはティックチャート以外にも、他にも1秒足、5秒足といった特別なローソク足を提供しているFX会社もあります。そう聞くと、取引する環境が整っている為、他の人と比べて有利にスキャルピングができると思いがち。
でもこれも危険が考え方です。FXの値動きはFX業者に依存するため、ティックチャートといった特別なチャートの値動きもFX業者に依存する不確かなもの。そもそもが不確かな値動きな為、見せ方をどう加工しようが、そこまで大きく有利にはなりません。
値動きの確かさ、正確さに視点を向けるなら、外国為替市場ほど正しい値動きを掴みにくい市場は無い。
仮にA社のカバー先にX社,Y社2つの金融機関があったとします。
・X社はスプレッドを広く取っており、価格の値動きは少なめ、
・Y社はスプレッドが小さく、価格の値動きは多い。
この場合、A社のチャートはY社の値動きが大きく反映されます。ただし、外国為替市場の市場シェアは圧倒的にX社が高い場合、Y社の影響を強く受けたチャートは外国為替市場の値動きを捉えているのでしょうか?
デイトレード程度の長いスパンで取引する場合、この差は誤差レベルですが、秒単位が勝負になりがちなスキャルピングだと誤差ではなく大きな問題。
取引に便利そうなツールがあるからといって、スキャルピングが簡単になると誤認しては駄目。
スキャルピングは取引コストが高いから儲からない
スキャルピングは取引コスト(スプレッド)が高くつき、儲からない。
ドル円は欧州タイム~米国タイムの15分間で平均6pips前後値動き。必要な取引コストは最安値のFX業者であっても0.2pips程度。
取引環境を取引コストを0.2pips、利食い6pips、損切り6pipsとした場合、100回スキャルピングした場合の勝率と取引コストの関係は次図。
勝率70%辺りから取引コストが8.3%と次第に大きくなり、勝率60%にもなると16.7%の費用を支払っている計算。
16.7%が大した費用で無いと感じる方もいます。確かにそうかもしれませんが、デイトレードと比較すると、スキャルピングの取引コストの割高さに驚かされます。
仮に取引コストを0.2pips、利食い60pips、損切り60pipsで100回デイトレードした場合、勝率と取引コストの関係は次図。
デイトレードなら勝率70%でも取引コストは0.8%。取引コストの影響はほんと微々たるもの。
比較して分かる通り、スキャルピングはデイトレードの10倍以上、取引コストの影響を受けます。
「スキャルピングは売買回数が多い為、資金の回転率が良く、複利で資産を増やしやすい。」そう言われているものの、取引コストを含めた勝ちやすさはデイトレードに完全敗北。
取引コストが高すぎる為に、スキャルピングを頑張っても思った以上に儲からなかった。そんなFXトレーダーが非常に多い。同じ取引手法でもスキャルピングからデイトレードに替えた途端、トータルで勝てるようになることがあります。
スキャルピングはやっぱり難しい。
時間帯によって為替市場の雰囲気が変わるから勝てない
外国為替市場は世界中のトレーダーが参加する市場。
早朝はオセアニア勢、日中はアジア勢、夕方は欧州勢、夜間は米国勢が為替市場のメインプレーヤーです。時間帯によって相場のメインプレイヤーが変化する為、時間帯の変化で相場の方向が変化します。
アジアタイムは円高方向だったが、欧州タイムになると急に円安方向へ転換した。こんなことは日常茶飯事。
またスキャルピングは経済指標発表による相場の変化にも対応する必要があります。
米国雇用統計が市場予想3.7%に対し、実際は3.6%。良好な経済指標の為、一瞬円安に振れたが、次第に円高になった。
「良好な発表結果なのになぜ円高に?」→「失業率は改善したが、非農業部門雇用者数は市場予想よりも悪化していたから」→「なぜ非農業部門雇用者数が重要視されていたのか」→「???」
誰かが理由を説明してくれるまで待っても良いですが、そうこうしてると取引チャンスを逃してしまいます。そもそも誰かの見解に従って取引はNGですが・・・。
時間帯ごとに変化する市場の値動き、方向性。経済指標発表の都度、変化する相場の流れ。さらに言えば株式市場、商品先物市場、国債市場も為替相場に強く影響を及ぼします。
何をどれほど優先し、何に従って取引するのか?スキャルピングは頻繁に判断を求められ、前提が変わる都度、判断の修正が求められます。もうね、めっちゃ疲れます。
もし相場の変化に対応できず、スキャルピングで勝てない、難しいと感じる場合、相場の変化が起きにくい、早朝のみスキャルピングするといった朝スキャ手法があります。↓の記事でも少し触れているので良ければ参考に。
スキャルピングは勝ち方が確立されていないから難しい
数年単位の株式トレード、数日~数週間のスイングトレード。これら取引スタイルの歴史は長く、それぞれに勝ち方があります。
株は市場シェア、貸借対照表、損益計算書、ビジネスモデルなどを評価し、予想通りの業績になれば勝ち、外れれば負け。というシンプルなルールで勝負できます。相場の予想というより、ビジネスの先行き予想で勝てる面が強いということ。
最近流行っているつみたてNISA、イデコなども明確に勝てる理由があります。長期投資に勝ちパターンは存在します。
スイングトレードにも勝ちパターンは存在します。
突発的なニュースは行き過ぎた悲観相場、楽観相場を形成します。ニュースは新聞記事となり、メディアで報道され、数時間~数日という範囲でより多くの人の目に晒されます。
そもそもテクニカル分析は、こういった情報の広がり方と日足チャートの値動き対し、優位性を見つけるために開発されました。
RSI、MACD、ストキャスティクス、ボリンジャーバンドなど、有名なテクニカル指標はスイングトレード用に開発されたといっても過言ではありません。
逆を言えば、スキャルピング用に開発されたテクニカル指標は存在しません。
スイングトレードで使用されていたテクニカル指標がスキャルピングにも同様に使える「だろう」というだけで広がりを見せています。事実、使えるものもありますが、検証は自ら実施する必要があります。
有効な期間・パラメーターは?
リミット幅、ストップロス幅は?
取引時間の制限は?
経済指標発表時の価格のイレギュラーな値動きは計算に含める?除外する?
無数にある組み合わせパターンから一つ選ぶのは大変。誰かに教えてもらおうにも、業者の「スキャルピングは儲かる」という提灯記事が検索の邪魔になります。
スキャルピングは出来高が使えないから難しい
価格の予想、形成過程に大きく影響を及ぼす出来高情報。株取引の経験があるトレーダーはその重要性に気付いていると思います。
為替市場も株と同じく、出来高は非常に重要。
にも関わらず正確な出来高情報を一般のプレイヤーは把握できません。参照できたとしても非常に限定的なもの。(例 日本銀行:日本時間における外国為替市況(日次)
価格が大きく動いたとしても、出来高を伴った値動きだったのか?出来高の伴っていない値動きだったのか?背景によって、価格が動いたメカニズムが大きく違います。
価格が動いたメカニズムが分かれば、その後の値動きの予想も行いやすい。
おまけに株は、誰が買ったのか?どれほど保有しているのか?という情報が公開されている為、値動きの裏付けが行いやすい。
外国為替市場もシカゴ先物市場の建玉データは公開されているものの、スポット市場のデータは非公開。貿易絡みの実需勢の動きは全くといって良いほど分かりません。
「円買いが進みユーロが大きく売られた」という事象から「どこの国、銀行、ファンドがユーロを売ったのか」まで調べられません。情報が遅くても良ければ、各国の外貨準備積立金の増減、内訳を確認すれば分かるものの、数か月前の情報を今知ったところでスキャルピングには生かせない。
価格が動いた背景を出来高情報、建玉情報などから裏付けできない。だからスキャルピングは難しいし、勝ちにくい。
もし、ここ数日にかけて米系銀行が円を20,000枚購入、売り手は独系銀と日系銀行。という動きが公表されていればFXの戦い方は大きく変わります。
FXは株、先物と比べ2倍難しい
スキャルピングに限らず、どうしてFXは難しいのか?その理由も少し紹介。
FXは通貨と通貨の交換レートを売買するトレード。予想するには2つの通貨価値のバランスを予想する必要があります。
ドル円のトレードであれば、ドルインデックスと円インデックスの先行きを予想して取引します。
ドルインデックスの価値が上昇するのか下落するのか予想する。
円インデックスの価値が上昇するのか下落するのか予想する。
この2つのインデックスの価値の差が開くのか?縮小するのかを予想するのが為替取引です。株で例えるならば「銀行株と鉄鋼株の価格差」を売買しているようなもの。
それぞれ特色の異なる投資先同士を比較し、その差がどのように推移するのかを売買する。これが簡単な訳がありません。
円が売られていくと予想しドル円をロング。結果、ユーロが大きく買われた為、代替えしてドルが大きく売られた。外国為替市場全体で見れば円は売られているものの、ドルの方が売られた。→ドル円は下落し、損切り。
なんともまぁ難しい。円だけの予想なら正解していたのに。。。
FXは魅力的なトレンドが発生しないから儲からない。
株価が10倍になるテンバガーを代表するように株式市場には明確な上昇トレンドが発生します。トレンドに見合った成長、利益率やビジネスモデルの改善、妥当性・裏付けのある上昇トレンドです。
それに比べFXはどうでしょう?ドル円が100円から110円になった。チャートを見ると、円安傾向のトレンドがあった。というように見えるかもしれません。
が、たった10%の変動です。チャートに線が引ければトレンドと呼べなくもないですが、株のトレンドとは全く違う変化率。似て異なるもの。
為替レートはビックマック指数、金利平価説、購買力平価説といった手法で評価されるものの、「100円から110円の変化が正しかった」ことを裏付けできる評価方法は確立されていません。
つまり、為替レート10%程度の変化はただの誤差かもしれないということ。
為替市場はトレンドがあるように見えて、実はない。私はそのように考えて取引しています。
株ならほったらかしで10倍になるといった上昇トレンドに偶然乗っかることも可能。為替はそうじゃありません。誤差レベルの値動きに現れる僅かな特徴を狙い打ちするひじょうに難しい取引です。
【裏側】隠されたスキャルピングが難しく、勝てない理由。なぜ儲からないのか?
以上、スキャルピングが難しく、勝てない理由でした。
もうスキャルピングやめよっかな?という人も出てきたかもしれませんが、取り組み次第でスキャルピングで勝ち続けることは可能です。
本記事でもヒントになりそうな記事を時折挟んでいたと思います。良ければ参考にしてもらえると嬉しいですね。